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Vol.69  Eriskay Jersey


写真のニットは、スコットランドのエリスキージャージーと呼ばれる、
非常に希少な手編みのセーターです。

生産地であるエリスキー島は、
ハリスツイードでおなじみのアウターヘブリディーズ諸島の中の人口たった100人程度の
非常に小さい島で、その中でもごくわずか、数人の女性が、
年間12枚程度しか編むことができない幻のニットです。
(上の写真をクリックしていただきますと、大きな画像がご覧いただけます。)

皆さんは英国の手編みのニットというと、
ガーンジーニットやアランセーター(正確には、英国ではなくアイルランド)を
真っ先に思い浮かべられると思いますが、
エリスキージャージーを含むこれらの漁夫などの「フィッシャーマン」のためのニットは、
それぞれ、密接な関係があります。

フィッシャーマンニットは、彼らの妻や娘たちが手で紡いだ糸を用いて手編みをして、
湯に通して強い縮絨を加え、風や海水を通さない暖かい丈夫なセーターですが、
起源は10世紀ごろのスカンジナビアと言われています。
それが、バイキングによって南に伝えられたものと思われます。

英国においては、フィッシャーマンニットは一般的にガーンジーと呼ばれており、
フランスのノルマンディー半島の西側のガーンジー島に由来します。
ただし、これらをガーンジーと呼ばずに、たとえば前述のエリスキー島では
ジャージーと呼んでおり、一概にガーンジー島が発祥とは言えないようです。

いずれにせよ、これらは、
有名なフェア島のフェアアイルやシェットランド諸島のシェットランドなど
販売用に作られたニットとは一線を画し、
長く、商品としてではなく家族のための編み物として細々と受け継がれてきたものです。

ただし、漁師たちは魚を求めて様々な港に出入りし、
女性たちもスコットランドのカレドニア運河経由で出稼ぎに行ったりして、
編み物の技術やニットパターンの交流があり、
また、16世紀、スペインの無敵艦隊がアルマダの海戦で英国艦隊に敗北し、
スコットランドとアイルランドを迂回して帰国を目指すも悪天候のために次々と難破、
乗組員はフェア島やアウターヘブリディーズ、そしてアラン諸島に上陸し、
スペインのニットのパターンの伝統を伝えたといわれています。
無敵艦隊の水夫の多くはスペイン北部のガリシア地方から徴用された漁師だったそうです。


より大きな地図で 英国・ガーンジーニットの旅 を表示
(ちなみに、エリスキー島、ガーンジー島、フェア島、アラン諸島)

改めて、エリスキージャージーを見てみましょう。
色は潮風に強いといわれるネイビーのみで、
どのガーンジーニットよりも複雑な模様が見られます。
複雑な模様は地厚を生み、より暖かく、また、自由な動きを妨げないために、
ぴったりとした着心地やわきの下のたっぷりとった「マチ」が特徴です。
(エリスキージャージーのニットパターン>>>

当店には現物がありますので、超絶ニットパターンをご覧ください。
もちろん、ご注文も可能ですが、なんせ、年間12枚の生産キャパですので、
かなり時間がかかりますことを予めご了承下さい。

(ちなみにこちらは、アイスランドのニット、アイスランディックセーターです。(非売品)>>>

(出典)
「手芸の文化史」 飯塚信雄著 文化出版局
「海の男たちのセーター」 とみたのり子著 日本ヴォーグ社
エリスキー島ホームページ http://www.cne-siar.gov.uk/eriskay/index.htm

PS : 2012年春夏物の生地情報をアップしました。>>>