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Vol.47 Mohair Poral for Spring


写真はドーメルの「Tonik 2000」のライトグレーとチャコールグレーのスーツです。

ヨーロッパにおける「夏物」服地では、フレスコが有名です。
もともとフレスコはハダースフィールドのマーティンソン社が生産したものを
ロンドンのA.ガニア商会が1907年に商標登録をして独占的に販売をしたものです。
アメリカでは一般的に「ポーラ」と呼ばれ、ウールの細い芯糸と太い飾り糸と細い抑え糸とを
強撚で撚りあわせた、いわゆる「三杢(みつもく)のポーラ」です。

これは、たしかに、手触りがさらっとして、通気性があるのですが、
さすがにウール100%の400g超の服地は、たとえ乾燥したヨーロッパの夏でも
いかにも重過ぎる感がありました。

フレスコの商標登録からちょうど50年後の1957年、
フランスのウールマーチャント、ドーメルが「トニック」の販売を開始しました。
これは、「モヘア混の三杢のポーラ」で、モヘアを入れることにより、
よりサラッとした風合いと断熱性を持たせることができ、
しかも軽量化に成功しました。
これが全世界で爆発的な大ヒット、年間で80万メーター(スーツに換算して20万着以上)
を販売したといわれ、常に品薄状態だったようです。

その後、スキャバルにおいても、「タイタン」が発売され、夏服の代表的な服地として
一世を風靡しましたが、より細い繊維、細番手の糸が開発され、
服地としても、ウールトロピカル、モヘアトロピカルやより軽量なフレスコが登場し、
それらに主役の座を明け渡しました。

スキャバルのタイタンはすでに展開を終了しており、
ドーメルのトニックは上の写真の「トニック2000」として復刻していますが、
すでに三杢ではなく、経糸横糸とも双糸に変更されています。
(昨年、ある百貨店の特注で生産されたドーメルの「トニック1957」も
横糸のみ三杢でした。ちなみに、色柄によっては在庫が手に入りそうです。)

ところでこれらのモヘア混の厚めの生地は、
昨今の気候の変化で、「合物」として再評価される兆しがあります。
英国のSavile Clifford(Bower Roebuck)やHarrisons of Edinburghで
三杢の復刻版が出ておりますので、ぜひご覧下さい。

(写真1) Dormeuil Tonik 2000
(写真2) 復刻版のDormeuil Tonik 2000 (325g 30% Mohair 70% Wool)と
ヴィンテージのScabal Titan(370g 50% Mohair 50% Wool)