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Vol.44 Twills, Tweels, Tweeds


新年明けましておめでとうございます。

本年も、魅力的な生地や周辺商品を提案させていただきますので、是非ご期待ください。

本来なら一月になると、そろそろ春夏物のご提案をしてもいい頃なのですが、
昨年末よりの寒波で、ちょっと気分的にはまだまだ暖かいお話を。

やはり今の季節、ツイードのジャケットが恋しくなります。
我々、簡単にツイードと呼んでいますが、
ツイードとそれ以外の服地の違いに明快な定義がありません。

「都市伝説」ですが、1840年頃、スコットランドの毛織工場George Robertsから
ロンドンのリージェントストリートのJames Lock商会宛のインボイスにおいて
粗剛な綾織物(英語でTwills)を本来スコットランド語でTweelsと書くところ、
lとdを誤記したために、Tweedsになってしまったとのことで、
そもそも、ツイードの呼称は偶然の産物らしいのです。
たまたまイングランドとスコットランドの「国境の川」であるツイード川沿いで
この手の織物が多く生産されていますが、因果関係はなさそうです。


ただ、ツイードはもともと、貴族のスポーツであるハンティング(狩猟)と
深いかかわりがあります。
そもそも、冬に貴族の領地で行われるハンティングでは、
ジャケットとして防寒や防水の機能はさることながら、
領地の風景の溶け込む「カモフラージュ(迷彩)」も重要なポイントなのです。
実際に狩猟を楽しむ貴族やその仲間たち、
また、Gamekeeper(狩猟場の番人)やGhillie(猟場の案内人)などの使用人も、
動物を驚かせないように、また、猟場の風景に溶け込むように着用したと思われます。
したがって、ツイードは基本的に茶系、グリーン系が多く、
数種類の色糸や繊維をブレンドしたり、また、チェック柄にすることにより、
より「迷彩」かつ、おしゃれなオリジナルの色柄が形成されたものと思われます。
ツイードの定義は、産地や使用する羊毛の種類、織り方ではなく、
案外、「ハンティングに使用できる防寒、防水性を兼ね備えた迷彩色の服地」
と言うことでしょうか。

現在展開されている主なツイードは、上の写真の通りです。
特筆すべき服地は、左下のGamekeeper Tweedです。
900gの超ヘビー級でまさに森に溶け込む迷彩色です。

でも都会でもツイードを着たいですよね、邪道でしょうか(笑)

ところで、上の写真のバックは、
1960年に服地輸入卸業者であった吉岡善一氏が出版された、
"Scotch Tweed Sprendourースコッチツイードの光彩ー"です。
ちょうど50年前、本場英国ツイードを日本に輸入するために
英国各地を歴訪された際の貴重な記録です。
店長の父親も1961年にベルギーのウールマーチャントとの
総代理店契約の為に、ヨーロッパを訪れており、
まさに「官僚たちの夏」の真裏で、本物を日本に紹介すべく
世界中を駆け回っていた人達のおかげで、
私たちは今、さまざまな服地を楽しむことができるのかもしれません。

(上の写真をクリックされますと、拡大写真がご覧いただけます。)

出典
吉岡善一著 「Scotch Tweed's Splendour ースコッチツイードの光彩ー」
Nicholas Storey著 「History of Men's Fashion」
Hardy Amies著 [ABC of Men's Fashion]
山田勝著 「イギリス貴族ーダンディたちの美学と生活ー」
Martin Hardingham著 「The Illustrated Dictionary of Fabrics」